グローバルナビゲーションへ

本文へ

ローカルナビゲーションへ

フッターへ



ホーム >  診療科・部門紹介 >  診療科 >  乳腺外科

乳腺外科


ページ内目次


乳癌治療の流れ

1:検査・診断

視触診、マンモグラフィ、超音波検査が基本ですが、良悪性の鑑別には針生検、マンモトーム生検(*1)などで癌組織の有無を調べて確定します。組織学的に乳癌と診断されれば術式(切除範囲やリンパ節郭清の有無)を決定するためにMRI検査が有用です。

*1マンモトーム生検とは
悪性の可能性がある病変を超音波検査で部位を同定し、局所麻酔後に体表から約3-4mm程の針を刺し、画像を見ながら組織を吸引・採取する生検器機です。一度の穿刺で何度も採取でき、穿刺部位の縫合も不要です。従来の針生検と比べて組織の採取量が多く、サブタイプ分類(後述)に有効です。

2:治療

1. 手術
しこりを含む乳腺の一部を部分的に切除する乳房温存手術と、しこりを含めて乳房全体を切除する乳房切除術に大別されます。乳房切除術の症例に対し、ティッシュエキスパンダー挿入による一次乳房再建手術(後述)も積極的に行っています。以前は、わきの下(腋窩)のリンパ節を手術で取り除く腋窩リンパ節郭清を行うことが標準とされていました。しかし、腋窩リンパ節郭清を行うと患側の腕の「むくみ」や「運動神経障害(手が上げにくい、しびれ)」などの後遺症で悩むことがあります。当院では2000年より、術前検査で明らかな腋窩リンパ節の腫大を認めない場合は手術中にセンチネルリンパ節生検(*2)を行い、不要な腋窩リンパ節郭清を回避しています。

青染したセンチネルリンパ節

*2センチネルリンパ節生検とは
癌から最初に転移する可能性のあるリンパ節のことです。リンパ節転移を見張っているという意味で「見張りリンパ節」とも呼ばれています。センチネルリンパ節に癌の転移がなければ、それ以外のリンパ節にも転移がないと考えられ、不要な腋窩リンパ節郭清を行いません。当院では色素法を用いていて、乳癌手術中にセンチネルリンパ節転移の有無を判定します。
2. 乳房再建
乳房再建は、再建する時期や方法に応じて、様々な組み合わせがあります。切除手術と同時に行われる一次乳房再建を希望される場合は、乳腺外科医師と形成外科医師の双方から手術の説明をいたします。当院は日本乳房オンコプラスティックサジャリー学会の「乳房再建用エキスパンダー/インプラント実施認定施設」です。
3. 薬物療法
腫瘍径が大きく乳房温存手術が困難な浸潤性乳癌で乳房温存手術を希望される場合、腫瘍縮小を目的に術前化学療法を行います。また、患者さんごとのサブタイプ分類(*3)に応じて、再発を予防する目的で内分泌療法・化学療法・分子標的薬(*4)を単独、または組み合わせて実施します。化学療法は原則外来の化学療法室で行います。化学療法室には治療専用のリクライニングシートが8台、ベッドが2台あり、専従の医師、薬剤師、看護師が常在しています。
*3サブタイプ分類とは
乳癌の性質は女性ホルモンの影響によって増殖するホルモン受容体(エストロゲン受容体ER、プロゲステロン受容体PgR)と癌増殖因子受容体であるHER2、増殖能の指標であるKi67を免疫染色して5つのタイプに分類され、適切な治療薬が選択されます。ホルモン受容体陽性ならば内分泌療法、HER2陽性ならばトラスツズマブなどの分子標的薬と化学療法を組み合わせて使います。

*4分子標的薬とは
分子標的薬は癌細胞にある特徴的な物質のみをターゲットするように開発された薬です。乳癌の治療に最初に用いられたのはHER2蛋白を標的にしたトラスツズマブです。抗HER2療法としてはラパチニブ、ペルツズマブ、トラスツズマブ・エムタンシンなどがあり、血管内皮細胞増殖因子VEGFを阻害するベバシズマブ、mTOR蛋白を阻害するエベロリムス、CDK4/6を阻害するパルボシクリブがあります。

ER陽性乳癌(免疫染色):大多数の腫瘍細胞の核にERが存在している

HER2陽性乳癌(免疫染色):大多数の腫瘍細胞の表面にHER2蛋白が存在している

外来化学療法室:点滴用リクライニングシート

化学療法室:点滴用ベッド

4. 放射線療法
乳房温存手術後の乳房内再発予防を目的として、退院後外来で手術した乳房に原則50Gy(1回 2Gy、計25回)の放射線照射を行います。部分切除した組織の切除断端の状況に応じて10Gyの追加照射を加える場合があります。また、症例に応じて1回照射量を増やして、照射回数を減らすこともあります。

3.乳癌ケア

1. リハビリテーション
乳癌手術は、傷の痛みや治療とともに生じる皮膚の硬さやツッパリ感によって、腕が挙がりづらくなるため、術後早期(入院中)より理学療法士または作業療法士によるリハビリ指導を開始します。早期にリハビリを実施することで、術後の後遺症を可能な限り予防し、日常生活や復職時の注意点を確認しながら早期社会復帰を目指します。具体的な指導内容は、主体的にセルフケアに取り組めるよう指導を行うとともに、退院後のサポートも実施しております。術後のリハビリテーション対象患者数の2015年から2017年に掛けての推移を下記に示します。当院での手術症例のおおよそ9割以上の患者様が術後のリハビリを実施しております。

2.リンパ浮腫ケア
腋窩リンパ節郭清を伴う手術の場合は腕の浮腫(むくみ)=リンパ浮腫を予防することが大切です。当院では手術後のQOL(生活の質)を支える外来としてリンパ浮腫ケア外来を開設し、専門看護師が入院中からケア指導を行っています。またリンパ浮腫は年次経過や生活環境に影響を受けやすいため外来通院中も定期的に面会をしています。その結果、当院のリンパ浮腫発症率は低く推移しています。
【リンパ浮腫発症率】

開設以前の場合

開設以降の場合

【年次延べ患者数 乳腺・婦人科・その他の合計】

【指導内容】
1) 日常生活上の注意  
発症を予防するためには日常生活の中で注意していくことが大切です。パンフレットを使い分かりやすい指導を心がけています。
2) 圧迫療法 
リンパ浮腫を発症した場合は弾性着衣を使用した治療を行います。

圧迫前

圧迫1ヶ月後

3)リンパドレナージ
硬さのあるリンパ浮腫の場合に行う治療です

ドレナージ前

ドレナージ直後

このようにおひとりおひとりの状況に応じた指導を行っています。

4.治療成績

1.手術症例数
2017年1月から12月までに原発乳癌160例、再発乳癌その他21例、良性疾患42例、マンモトーム生検202例の計425例の手術を行いました。2015年、2016年の症例数の推移を下記に示します。マンモトーム生検は2016年1月から導入しました。

2. 原発乳癌患者の年齢分布
2017年に手術を施行した乳癌患者は30歳から92歳まで分布し、平均年齢は58.5歳と他施設に比べやや高齢者が多い傾向があります。手術患者160例中、75歳以上は25例(15.6%)認めました。ちなみに2015年、2016年の平均年齢はそれぞれ60.3歳、58.5歳でした。

3. 乳癌発見の契機
2017年に手術を施行した乳癌患者の当科外来受診契機は、「乳房腫瘤(しこり)自覚」が一番多く75例(47%)、「乳房腫瘤自覚なく検診要精査」57例(36%)、内科や整形外科などでたまたま撮影したCT検査等で「乳房腫瘤指摘」15例(9%)、以前から「経過観察されていた乳房腫瘤」13例(8%)です。腫瘤を自覚して外来受診をされる患者が一番多いのですが、やはり検診例はより早期例が多く、乳がん検診の重要性が示唆されます。2015年、2016年の割合も提示いたします。

4.手術症例のStage分類
2017年の手術症例のStage分類は、Stage 0 24例(15%)、I 66例(41.3%)、IIA 38例(23.8%)、IIB 12例(7.5%)、IIIA 5例(3.1%)、IIIB 7例(4.4%)、IIIC 1例(0.6%)、IV 7例(4.4%)でした。予後良好と考えられるIIA以下の症例は128例(80%)でしたが、かなり進行し治療困難な状態で初めて外来を受診される患者さんが今でもいらっしゃいます。2015年、2016年も同様の傾向でした。

5. 術前化学療法
腫瘍径が大きく乳房温存手術が困難な浸潤性乳癌で、乳房温存手術を希望する場合、温存率向上を目的に術前化学療法を行っています。特にHER2陽性乳癌では術前化学療法による腫瘍の縮小効果が期待できます。2017年は160例の手術患者中10例が術前化学療法後に手術を行いました。

6. 手術術式
2017年は160例中109例(68%)に乳房温存手術を施行しました。乳癌手術と同時に行われる一次乳房再建手術は11例(7%)、乳房切除術は40例(25%)でした。センチネルリンパ節生検は125例に行われ、10例が陽性でした。腋窩リンパ節郭清は25例に施行されました。

5.乳腺外科外来担当医表

月・火・金の午後は紹介初診患者のみの完全予約制ですが、紹介状がなくても月・火・水・金の午前11時半までに初診受付をすれば、当日に乳腺専門医(嶋田/坂田)が診察いたします。なお、月曜午後の乳腺外来は女性乳腺専門医(関朋子医師)です。
午前 嶋田昌彦 坂田道生 嶋田昌彦 坂田道生
(予約再診のみ)
坂田道生
午後
(完全予約制)
関 朋子 坂田道生 嶋田昌彦
pagetop