
2004.01.10
今回は、インフルエンザの診断と治療について、小児科の菅谷憲夫先生にお聞きしました。
インフルエンザの迅速診断とはどんなものですか?
インフルエンザの診断が、診療の場で正確に出来るようになりました。 それがインフルエンザ迅速診断セットです。 のどを綿棒でこすった液や鼻汁で検査しますが、インフルエンザウイルスが存在すれば、わずか15分で簡単に検出することが出来ます。 病院では、実際に結果をお知らせするまでには、30〜40分かかります。
迅速診断は正確なのでしょうか?
迅速診断は、陽性の時はインフルエンザに間違いありませんが、陰性でもインフルエンザでないとは言い切れません。 その時の流行状況や症状を見て、医師がインフルエンザの診断をして、インフルエンザ治療薬を処方します。
インフルエンザの治療薬にはどういう種類があるのですか?
インフルエンザの治療薬が最近広く使われるようになりました。 現在は、A型インフルエンザのみに有効なアマンタジンと、A型にもB型にも有効なノイラミニダーゼ阻害剤があります。
アマンタジンについて説明してください。
アマンタジンは、A型インフルエンザには効果がありますが、B型インフルエンザには効きません。 アマンタジンを、インフルエンザで熱が出てから、48時間以内に内服すると、症状が軽くなります。 しかし、副作用や耐性ウイルスが出やすいのが問題です。
アマンタジンでは副作用があると聞きましたが?
アマンタジンには副作用があります。 消化器症状として、食欲低下、吐き気などがあり、中枢神経系の副作用としては、不眠、集中力低下、易疲労感などがあります。
新しい特効薬ノイラミニダーゼ阻害剤の特徴は何ですか?
この薬の優れた特徴は、3点あります。
1. ノイラミニダーゼ阻害剤は、A型インフルエンザにも、B型インフルエンザにも有効です。
2. この薬は、アマンタジンと比べて、耐性インフルエンザウイルスの出現は数十分の一といわれています。
3. ノイラミニダーゼ阻害剤は、アマンタジンにみられるような中枢神経系の副作用 (不眠、集中力低下、抑うつ、振戦、歩行障害) はありません。ノイラミニダーゼ阻害剤には、内服薬のタミフルと吸入薬のリレンザの2種類があります。
内服薬のタミフルはどんな薬なのですか?
タミフルは、内服で使用するノイラミニダーゼ阻害剤で、1カプセルを1日2回、5日間内服します。 小児用のドライシロップもあります。発病後48時間以内に内服を開始する事が大切です。
治療効果では、タミフルを内服すると、インフルエンザの症状が、1日から2日短縮します。 具体的には、解熱効果でみると、内服1日後に40〜50%の人の熱が下がり、2日後に80〜90%の人の熱が下がります。 インフルエンザの熱は、38度から40度ぐらいあるので、それがこのように急速に熱が下がるのは、患者さんにとっては大きな効果と感じられると思います。
タミフルは、内服薬なので、消化器症状として、少数の人に吐き気、嘔吐が見られるほかは副作用はありません。
そうすると、インフルエンザの治療には、アマンタジンよりもノイラミニターゼ阻害剤の方がいいのでしょうか?
今後、アマンタジンに代わり、インフルエンザの治療には、ノイラミニターゼ阻害剤が広く使用されると思います。
インフルエンザの薬は早く飲んだ方がいいのでしょうか?
ノイラミニダーゼ阻害剤は画期的なインフルエンザの治療薬ですが、発病48時間以内に使用しないと効果がありません。
今までは 「インフルエンザと思ったら、家で静かに休んで、十分に休養を取りなさい」 というのが、健康成人に対する、医師からの指示であったと思います。 そして、「熱がなかなか下がらないとか、咳がひどくなってきたら、病院を訪ねなさい」 という感じだったと思います。
これからは 「インフルエンザと思ったら、早めに病院を受診しなさい」 に変わることになります。