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臨床工学科


臨床工学科は、当院の医療機器に関して、全般に管理を行っている科です。今日の医療において医療機器の安全運用は最重要であり、日々の保守点検に注力し、安全な治療を提供できるよう心がけています。主に、心臓カテーテル検査と治療、ペースメーカの評価と変更指示の実行、透析療法を中心とする血液浄化療法、手術室の機器管理、そして輸液ポンプ、シリンジポンプなどの管理に至るまで多岐にわたり管理を行っています。今後も、安心安全を第一として、医療における医療機器の安全維持、有効性維持に努めて参ります。

腎臓内科 部長
臨床工学科 部長
松田 洋人
臨床工学科スタッフ(2021年1月現在)
  • 臨床工学技士 9名(男性6名、女性3名)

循環器部門

カテーテル関連業務(心臓カテーテル・腹部アンギオなど)、不整脈治療関連業務(ペースメーカ・アブレーション)を担当し、通常日勤業務に加え、夜間休日急患に対応すべく24時間365日、オンコール体制をとっています。
現在、月曜日にアブレーション業務、火曜日から木曜日にカテーテル関連業務、ペースメーカ業務を中心に行っており、ペースメーカ外来・遠隔モニタリング、ペースメーカ植込み患者に対する検査・治療時の設定変更なども定期的に行っています。チーム医療として様々な場所で医師・看護師・医療スタッフと連携し患者さんの治療にあたっている部門です。

1. 心臓カテーテル

虚血性心疾患の代表である狭心症や心筋梗塞等の検査・治療が主に行われます。これらの病態は冠動脈が狭窄または閉塞する事で発症します。治療する手段としては、バルーンやステントを使用して血行再建を行います。臨床工学技士は手術が円滑かつ安全に行えるようサポートしております。ポリグラフの操作や解析、FFR・IVUS等の各種診断機器の操作や解析を行います。急変時や重症な症例においてはIABPやPCPS等の補助循環装置の操作や管理も行います。また、夜間・休日の緊急時にはオンコール体制にて対応しております。

2. アブレーション治療

心臓の拍動リズムに異常を来し脈拍数が多くなる発作性上室性頻拍や心室頻拍と言った『頻脈性不整脈』という病態に対し行う治療です。不整脈の原因となる異常な心臓内局所をカテーテルにて焼灼する事で正常なリズムを取り戻します。臨床工学技士は不整脈解析装置・3Dマッピングシステム装置・スティムレータ・高周波発生装置等の様々な機器の操作や管理を行います。当院では2020年9月よりアブレーション治療が開始され、今後症例数は増加していく予定です。

3. ペースメーカ業務

徐脈性不整脈に対しペースメーカを体内に植え込み治療を行ないます。
ペースメーカ業務では、リード挿入時にアナライザの操作を行い、適切な場所かどうか判断し、機器植え込み前後でプログラマにて設定を行います。また植込み患者さんに対し定期的な外来や遠隔モニタリングにて、異常がないかチェックも行っています。また、MRIなど特殊な医療機器を使用し手術や検査を受ける際の立会いなど、ペースメーカ植込み患者さんの安全管理を行う業務です。

血液浄化部門

血液透析(血液浄化室)

血液浄化部門では、血液透析療法およびアフェレシス療法、腹水濾過濃縮再静注法にかかわる機器の操作、保守点検、患者管理、医材管理などを行っております。
緊急透析治療およびその他の血液浄化療法などに対応するため、24時間365日オンコール体制を取っています。

急性血液浄化療法

主に急速に腎臓の機能が低下した急性腎不全等の
重症患者に対し、持続腎代替療法(CRRT)を行っています。
また、敗血症や下部消化管穿孔に対し、エンドトキシン吸着療法も行っています。

アフェレシス療法

当院では主に、劇症肝炎などに対して血漿交換療法(PE)、類天疱瘡などの皮膚科症例等に対して二重濾過血漿交換療法(DFPP)や潰瘍性大腸炎などに対して顆粒球吸着療法(GMA)などのアフェレシス療法を行っております。

腹水ろ過濃縮療法

当院では年間40件ほどの腹水濾過濃縮再静注を行っています。
消化器内科や外科をはじめ、様々な診療科から依頼を受けて治療しています。

定期点検

年間点検計画表を作成して、定期点検、定期パーツ交換、生菌検査、エンドトキシン測定などを行っています。
患者さんに安心して安全に治療を受けてもらえるように努めています。

院内研修について

血液浄化室での血液透析療法以外にも、ICUや病棟で出張透析を行っているため、ICUや病棟の看護師にも血液透析療法や機器についての知識を共有することが大切です。
よって、病棟NsやICUNsなどに血液浄化への理解を深めてもらうため、MEが主体となり勉強会を定期的に行っています。

手術室・ME機器部門

手術室部門 業務内容

臨床工学科手術部門では、手術室管理部門・診療科と密に連携を行い、安全な医療機器が提供できるよう、医療機器管理体制の確立を目指しています。
臨床業務においては、安全性の確立した手技の下、各症例に合わせた柔軟な対応ができる体制の確立を目指しています。
1. 術中自己血回収業務
主に外科(腹部大動脈瘤AAA:Abdominal Aortic Aneurysm)症例における人工血管(グラフト)置換術や整形外科症例に対して、自己血回収装置による術中自己血回収業務を行っています。適用症例数の増加に伴い、2020年9月より2台同時運用体制となり、並列での施行に柔軟に対応できるようにしています。また、緊急時の施行にも対応できる体制を整えています。

2. 術中モニタリング(MEP)業務
整形外科症例における運動神経領域の手術時に、脳の運動野を電気刺激し、四肢の筋肉の筋電図を測定し、手術中の運動機能を確かめるための運動誘発電位(MEP:Moter Evoked Potential)モニタリング業務を行っています。現在、2台の術中モニタリング装置を運用しており、2症例同時施行に対応しています。

3. 全身麻酔装置保守管理業務
現在8台の麻酔器を運用しており、CEによる始業前点検を毎日実施しています(休日を除く)。始業前点検では、始業前点検表に基づき、始業前の呼吸回路点検、動作点検を実施し、麻酔器の安全性確保に努めています。また、術中の不具合などに対して迅速に対応できるよう体制を整えています。また、生体情報モニタ、ガスモジュール、手術室部門システムなどの関連する機器についても、院内・院外点検を含めた保守体制を整えています。

4. ロボット手術支援業務
2020年9月より導入されたda Vinci Xの運用管理を行っています。関連部署・診療科と連携し、安全なロボット手術が施行できるよう支援しています。主に、術前の手術室内へのセッティング・動作確認、アームドレーピング、術中の安全管理、ロボット手術専用の鉗子(instruments)の使用履歴管理などを行っています。
また、医師向けのda Vinciシミュレータの管理も行っています。

5. DVT予防機器保守管理業務
深部静脈血栓症(DVT)を予防するためのDVT予防システムの保守管理を行っています。主に、使用前点検、定期点検、不具合時の院内修理に対応しています。

6. 手術室関連機器保守管理業務
手術室に設置されている内視鏡システム、高周波電気手術器、手術台、患者加温装置、医療用吸引器などの機器についても、定期保守管理(メーカによる保守を含む)、不具合時の初期対応(一次対応、不具合原因の特定など)を行っています。また、手術室内の設備(電源設備など)についても、安全性維持・有効性維持のための情報提供、支援を行っています。

7. 医療機器安全教育業務(院内教育)
主に新卒看護師向けに手術室で使用される医療機器について医療機器安全講習会を実施しています。講習会の形態は、原則、実機を用いたハンズオン形式を採用していますが、当科で運用しているeラーニングシステムも併用しています。また、メーカからの安全情報・回収情報の提供、安全使用のための注意喚起情報の提供も適宜行っています。

ME機器部門 業務内容

臨床工学科ME機器部門では、病棟・外来で使用される医療機器の保守管理を主に行っています。保守管理を行っている医療機器は多岐に及ぶため、適正使用のための院内教育、各機器に合わせた年間保守計画の作成、メーカ保守費用削減のための院内保守率の拡大などを目指して業務を行っています。
当部門では、臨床的な知識だけではなく、高度化した医療機器の院内保守に必要な工学的知識を深め、安全な医療機器を提供できる体制を目指しています。
1. 保守管理業務
○輸液ポンプ・シリンジポンプ・PCAポンプ・TCIポンプ・経腸栄養ポンプ
病棟ラウンドを行い、点検・整備済みの輸液ポンプ、シリンジポンプの補充、使用済み機器の回収を行っています。回収した機器はすべて、消毒液による清拭後、使用前点検を実施、合格した機器のみが各部署へ貸出されます。一部の機種を除き、ポンプテスター及び校正治具を用いた定期点検を院内で実施しており、院内での修理にも対応しています。

○人工呼吸器(成人向け・新生児向け・搬送向け)
成人用人工呼吸器16台、新生児向け人工呼吸器5台、搬送用人工呼吸器2台を運用しており、挿管・NPPV・ネーザルハイフローなどに対応しています。※2020年12月現在
主な業務内容は、使用前点検、使用中点検(日常点検)の実施、人工呼吸器使用中の病棟間の転棟やCT、レントゲン撮影のための院内搬送などを行っています。また、在宅向け人工呼吸器の導入も行っています。

○生体情報モニタ・除細動器・AED・心電計
日常点検をはじめ、不具合対応・消耗品の管理・部品交換などの対応を行っています。

○保育器
設置型及び搬送型保育器の保守管理を行っています。主に、使用前点検、使用中点検(日常点検)、不具合対応を行っています。

〇その他の管理機器
上記の機器の他、分娩監視装置、低圧持続吸引器、超音波画像診断装置、血圧計などの管理も行っています。また、病棟や外来で使用している機器の不具合対応を行っています。
2. 医療機器の適正運用管理
医療機器の適正運用を行う上で、医療機器や医療機器に関わる設備更新のタイミングは重要な要素の一つとなります。
耐用年数、修理履歴、保守費用などを総合的に検討し、機器の選定や予算申請、各部署・診療科への情報提供などを行っています。
3. 医療機器安全教育業務(院内教育)
主に看護師向けに新卒者及び中途採用者を対象に医療機器安全講習会を実施しています。各病棟や部署での使用状況や要望に応じた講習会を実施し、ハンズオン講習会を積極的に取り入れています。また、eラーニングよるWEB講習会にも対応しており、必要に応じて個別に知識や技術を習得できる環境を構築しています。

4. 機器管理システムによる機器・院内教育管理
当科では、機器管理システムによる医療機器の台帳管理、院内講習会・研修会管理を行っています。また、他院に先駆けて院内ネットワークを活用した院内WEBによるeラーニングシステムをベンダーと共同で考案・開発し、導入しており、WEBを活用した様々な機器管理運用を行っています。また、RFIDタグを用いた機器管理を行っており、医療機器の貸出、返却、使用状況の把握などを簡便に行える体制を構築しています。(※当機器管理システムを導入している施設内で)

5. 内視鏡サポート業務
内視鏡センター及び健診センターにおける消化器内視鏡業務のサポート業務を行っています。検査・治療時の内視鏡介助業務は行っていませんが、内視鏡スコープ・内視鏡関連機器の保守管理、保守費用削減のための様々な計画・分析を行い、臨床工学技士の視点からより効率的な保守、機器更新ができるようサポートしています。
また、内視鏡部門システムをはじめとする内視鏡関連機器の不具合発生時の一次対応や光源装置の光源交換なども実施しています。外来、入院を含めた検査・治療を行っているため、不具合発生時でも可能な限り迅速に復旧させ、検査・治療に影響を与えない体制が提供できるよう、心掛けています。

就職を希望される皆さんへ

当院は横浜市西区の中核病院として様々な診療科が設置されており、臨床工学技士は多くの職種、部署と連携を取りながら業務を行っています。
業務体制はローテーション業務を行っている病院もありますが、当院では循環器部門、血液浄化部門、手術室・ME機器部門の部門体制で業務を行っています。部門制により、各領域の知識と専門性を高め、確かな専門性を有したスペシャリストを目指し業務を行っています。

Q&A

Q1. どのような業務を行っていますか?
〇循環器部門
心臓カテーテル業務・アブレーション業務・ペースメーカー業務における機器管理・操作を行っています。PCPS稼働中は、臨時当直も行っています。
※詳しい業務内容は、循環器部門のページをご覧ください。
〇血液浄化部門
HD・CHDF・出張透析・アフェレーシス療法(G-CAP・PE・DFPP)・CART業務を行っています。透析患者さんへの治療は穿刺から返血まで行います。
※詳しい業務内容は、血液浄化部門のページをご覧ください。
〇手術室・ME機器部門
ME機器部門では、輸液ポンプ・シリンジポンプ・人工呼吸器などの管理を主に行っています。
手術室部門では、主にdaVinciや自己血回収装置の管理を行っています。
※詳しい業務内容は、手術室・ME機器部門のページをご覧ください。
Q2. 職場の環境はどうですか?
現在、9名のスタッフ(男性6名・女性3名)で各業務を行っています。
当院では、年齢性別関係なく本人の能力・努力次第で、20代前半からでも現場の第一線で活躍することができます。
Q3. 職場の魅力について
ひとつの部門に特化することで、専門性の高い知識を得られる職場です。また、学会や講習会への参加がし易く、臨床現場だけでは学ぶことのできない知識を得る環境も整っており、自己研鑽、スキルアップにつながっています。また、先輩技士によるサポート体制も整っていますので、1年目から安心して働くことができます。